Kettle Chips Smoky Barbecue (150g)

イギリス食べ物寸評企画。

本日はこちら、

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Kettle Chips Smoky Barbecue (150g)

ケトルのポテトチップス、燻製風バーベキュー味。

薄塩味バルサミコ酢味に続いてケトルのポテトチップス。

ポテトチップス、もともとそんなに食べないのに半額セールの対象になってたから割とたくさん買っちゃいました。

全部レポートするまでにはもう少しかかりそうです (^_^;)

と言っても、日本のポテトチップスだといつの間にかどんどん食べちゃったりしてたような気もするので、商品にも問題ありかもしれません。

というのも、このバーベキュー味のものも普通においしいんですが、味が濃い!
それもなんとなく人工的で、バーベキューソース独特の甘みもちょっっっとしつこいかなぁ。

おいしいんですけどね。
一度にたくさん買うのがいけないんですけどねw

お値段はこれも半額セール中で99ペンス(170円くらい)、通常は340円くらい。*1

以上を踏まえて……

品質(味) 7/10
値段 8/10(通常価格なら6/10)

バルサミコ酢味と同じ評価で、ふつうにおすすめはできます。

よくもわるくもアメリカの会社のポテトチップスだなあ、という系統のおいしさです。

薄塩味が味付けが物足りなかったので、どうもちょうどいい「塩梅」ができないのかな、と思ってしまいました。

でも、単なる好みの問題かもしれないですね。

*1:現在1ポンドは約173円

マクヴィティとジャファケーキの歴史(2)「ジャファケーキ生誕」篇

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ジャファケーキ誕生前史、第1回の続きです。

20世紀に入ります。

今回も公式サイトの沿革に適宜情報を足すような形で書いていますが、そればっかりなのも独自性がないので、同じ時期のイギリス史の出来事を書き足すことにしました。

イギリスを代表する会社のひとつとなったマクヴィティ&プライス。

スコットランド発祥ではありますが、イングランド南部でも需要が増加していきます。

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これを受けて1902年、ロンドン北西部のハールズデン(Harlesden)に新しい工場を作ります。

1902年と言えば、第2次ボーア戦争(The Second Boer War)が終結した年で、このあたりからイギリスならびにイギリス帝国は緩やかに衰退局面に入っていきます。

同年に結ばれた日英同盟は、イギリスにとってはいわゆる「光栄ある孤立(Splendid Isolation)」からの方向転換を象徴する出来事でもあったわけです。

イギリスのあり方、イギリス帝国のあり方を国民が自問自答するなか、1914年に第一次世界大戦が勃発します。

イギリスも総力戦体制に入るわけですが、国を代表する食料品会社となっていたマクヴィティ&プライスは、政府の要求を受けて、兵士に配給される携帯非常食(iron ration)としてビスケットの製造に従事します。

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この需要を満たすために、イングランド北西部のマンチェスター(Manchester)に新たな工場も作られたようです。

この新工場の写真のように、戦時中は工場などで働く女性が増えました。

というより、増えざるをえなかったわけですが、このような女性の家庭外労働は1918年にイギリスで初めて女性参政権が認められるきっかけのひとつとなりました。*1

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第一次世界大戦が終わって5年後の1924年、マクヴィティ&プライス社はビスケット製造に専念することにします。

輸送に適していたためですね。

さて、この時期の歴史でなんと言っても重要なのはアイルランドの独立です。

1922年、アイルランド自由国(Saorstát Éireann)が誕生します。*2

大戦を経て、イギリスの衰退あるいは縮小は明らかになっていきます。

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さて、マクヴィティ社の方は翌年の1925年、ついにチョコレートに手を出します(笑)。

すでに代表的製品となっていたダイジェスティヴ・ビスケットにチョコレートをコーティングし、ホームウィート・チョコレート・ダイジェスティヴ(Homewheat Chocolate Digestive)というブランドで発売します。

今の人気商品、マクヴィティズ・チョコレート・ダイジェスティヴMcVitie’s Chocolate Digestives)に他なりません。 

今でも紅茶のおとも界最強を争う鉄板ビスケットであることは間違いのないところ。

この偉大なビスケットについては、また改めて紹介したいと思います。

そしてついに2年後の1927年、もうひとつの画期的商品が生まれることになります。

お待たせいたしました、ジャファケーキです。

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製品名のジャファというのはオレンジの一種で、イス ラエルのヤッ ファ(Jaffa)という港町から輸入したことから、このような商標を得ています。*3

1920年代というのは本当に面白い時期で、この頃のイギリスもいろいろとありましたが、歴史上の出来事としてはまず1926年のゼネラル・ストライキを挙げたいと思います。

イギリス中の労働者、雇用者、要するにほとんど国民全体を巻き込んだ大事件なので、触れないわけにいかないでしょう。

このときすでに一大企業となっていたマクヴィティ社が無関係だったとは思えませんが、当然そのような労使関係のいざこざは公式サイトの「正史」には書いてありません (^_^; 

もちろん、ストライキは本当になかったのかもしれませんが、大きめの労使間交渉はあったんじゃないかなあ。

そしてこのブログの筆者としては、1927年のイギリスモダニズムの不朽の名作、ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』(To the Lighthouse)の出版も記しておきたいと思います。

『灯台へ』とジャファケーキが同じ年に誕生したと考えると、感慨深いものがありますw

さて、第3回では、ついに「ジャファケーキはケーキなのかビスケットなのか問題はなぜ問題になったのか問題」を扱います!

*1:第4回選挙法改正で30歳以上の女性に選挙権が認められました。年齢制限も含めて男性と同じ条件になるのは1928年の第5回選挙法改正を待つことになります。

なお、こうした戦時中の工場などにおける女性の労働を女性参政権実現への動きの中に位置付けるのは簡単ではありません。

確かに、戦時中に女性が家庭外でも働くことを求められ、「女性の労働力」が顕在化したために、国家から見ればもはや参政権を認めないわけにいかなくなった、という側面があることは確かです。

しかしながら女性参政権の実現には複合的な背景・要因があります。

そもそも、これを実現すべく19世紀から続いてきた活発な運動がなければ選挙法改正もなかったでしょう。

このように、大戦時のイギリスに女性が「労働力」(このような「労働力」の見方においては家庭内における労働は考慮されていないことにも十分に注意する必要があります)として大きく「貢献」したことが参政権実現を後押ししたと言うことはできるでしょうが、これを単純な因果関係で結びつけることはできません。

*2:英語では Irish Free State。

なお、どの時点を「アイルランド独立」とするかは立場や見方によって微妙なのですが(なんといったって、まだアイルランドは独立していないという立場も当然あるわけですから……)、国際的に承認された形での国家誕生はこのアイルランド自由国と見てよいでしょう。

なお、この時点ではイギリスの自治領(Dominion)のひとつという位置づけで、政治的な紐帯が切り離されるのは1937年のアイルランド共和国誕生を待つことになります。

*3:ヤッ ファは現在のテルアヴィ ヴにあり、行政市としてはテルアヴィ ヴ・ヤッ ファ市(Tel Aviv– Yafo)となっています。

ジャファケーキのコマーシャル

先日の買い物企画記事でご紹介したジャファケーキ。

そのテレビコマーシャルがこちら。

www.youtube.com

なんかマクヴィティのコマーシャルって、どれも商品を動物で表すことにしているみたい (^^;
元気高めの音楽とともに動物と人間とのふれあいを見せてから、その後にそれを淡々ともぐもぐむしゃむしゃ食べる風景が映されるという、妙な緩急の付け方をしてきますw

このジャファケーキではメガネザルくんが起用されています。

ジャファケーキのキャッチコピーが The zesty mischief of Jaffa Cakes ってことになってるみたいなのですが、これはあえて訳すとしたら「ジャファケーキのさわやかな茶目っ気」ってとこでしょうか。

特に zesty という単語がクセモノです。

元の名詞の zest には「熱意(enthusiasmとだいたい同義)」、「大喜び(joy)」とか「面白み」「興奮」などという意味があります。

語源的にはフランス語の zeste から来ていて、これが風味添えに用いたレモンの皮から来ています。

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これですね。

そういうさわやかな香りがもたらす喜びとか心地よさ、ワクワク感とか、フレッシュに熱意みなぎる感じを表しているんですね。*1

なので、zesty mischief というのはさわやかな刺激を与えてくれるようないたずら、茶目っ気という意味になります。

そして、そんな zesty ないたずらをしてくるワンパクくんが動画のメガネザルくんで、今回はジャファケーキの箱から現れるといういたずらを仕掛けてみたということらしいです(^_^;

それにしてもこの音楽w

イギリス人なら知っている、クイズ番組「ブロックバスターズ」のテーマ曲です。

番組のさわりはこんな感じ。

www.youtube.com

もちろん、リアルタイムでは見ていないのですが、ブロックを使うゲーム要素もあるのでしょうか。
面白そうですね〜

動画の最後に出てくるボブ・ホウルネス(Bob Holness)さんの名司会ぶりがよく知られているらしいので、日本で言うと児玉清さんの『アタック25』のような感じでしょうか。

そしてこの男の子の打ち震え方もすごいですね。
zest の意味の enthusiasm と joy を的確に押さえていますw

気付いた方も少なくないと思いますが、これは間違いなく『グレムリン』でビリーとギズモとが対面するシーンを意識しています。

www.youtube.com

となると……おい少年! 喜んでる場合じゃないぞ!

というわけで mischief の別の語義*2 が浮上してきてしまうのですがw、
コマーシャルでは「まあ現実は違いますよね」とばかりに目を細めて優雅にジャファケーキを味わっています。笑

このようなわけでイギリス文化の要素が満載のこのコマーシャル、かなりイギリス人にとっては琴線に触れる作りとなっているのです。

*1:そのため、英語の zest にも上記のような意味に加え、香り付けに使う柑橘類の皮という意味があります。料理の好きな方は、ゼスターという道具をご存知かもしれません。まさに上の写真で使われている道具のことです。

*2:「大惨事」

マクヴィティ&ジャファケーキの歴史(1)「マクヴィティ下剋上」篇

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ジャファケーキは、1927年にマクヴィティ社によって作られました。
会社の公式サイトに載っている沿革にも記されています。

マクヴィティ社の歴史が始まるのは19世紀前半のことです。

今回はこの沿革を参照しながら1927年まで、つまりジャファケーキの誕生前史を見ていきたいと思います。*1

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1809年にスコットランドで生まれたロバート・マクヴィティは、パン屋の見習いとなります。

1830年、ロバートの父ウィリアムがスコットランドの首都エディンバラに食料品店を作ります。
ロバートの焼くパンは評判を呼び、店舗も増えて事業も拡がっていったようです。

1844年に結婚したロバートは息子ふたり(ウィリアムとロバート・ジュニア……ヨーロッパの人は親子でも同じ名前を付けることが多いので分かりにくいですね)をヨーロッパに送り出し、パン修行をさせます。

1880年にロバート・マクヴィティは亡くなります。
事業を引き継いだロバート・ジュニア・マクヴィティは好評だったパン製造に大規模な投資を行います。

マクヴィティの会社には1875年にチャールズ・プライス(Charles Price)が加わり、共に事業を拡大させてマクヴィティ&プライス(McVitie & Price)という商標で知られることになります。

彼らの製品はどんどんと人気を増し、この需要の高まりの結果として1888年にはエディンバラ郊外に新しい工場が建設されます。

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この年からアレグザンダ・グラント(Alexander Grant)がマクヴィティ社に勤めていますが、4年後の1892年にグラントは「ダイジェスティヴ(Digestive)」ビスケットを考案します。

digestive というのは「消化力のある」、「消化を助ける」という意味ですが、どうやらこのビスケットには重曹が多く使われていたのでこういう名前が付いたそうです。

実際に重曹が使ってあると消化によいのかはよく分かりません (^_^;

ちなみにこのグラント、後にサーの称号を与えられてサー・アレグザンダ・グラントとなっています。

写真にも貫禄が見えますね (^_^)

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いずれにしても、このダイジェスティヴ・ビスケットはマクヴィティの代表的なお菓子で、日本でもそれなりに知られていると思います。

特にチョコレートでコーティングされたものは人気が高いですね。

このふたつの商品はまた取りあげないわけにいきません。
何せジャファケーキを表す動物がメガネザルなら、これらふたつにも別々の動物がちゃんと用意されているので (^-^)

ダイジェスティヴ・ビスケットが誕生した翌年の1893年、マクヴィティ&プライスは英国王室から印章を与えられるまでになります。

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これは、ヨーク公ジョージ・フレデリック(George Frederick, Duke of York)とテック家のメアリ(Mary of Teck)との結婚式のケーキを作ることを頼まれたときに与えられたものです。*2

このようにして、マクヴィティ&プライス社は19世紀末までには名実ともにイギリスを代表する会社となります。

*1:基本的にはそちらの抄訳に適宜情報を足すような形で書いています。

*2:ジョージは後の1910年にジョージ5世として国王に即位します。メアリは第二次大戦後の1953年まで生き、第一次大戦では王妃として、第二次大戦では王太后として王室と国家とを力強く支えました。ロンドン大学の構成校のひとつであるクイーン・メアリ(Queen Mary, University of London)は彼女から名前を取っています。

マクヴィティのジャファケーキ

今日はこれぞイギリスのお茶菓子というものをご紹介します。

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McVitie’s Jaffa Cakes (12s)

甘いお菓子のパッケージが青ベースというのがいかにもイギリスという感じなのですが……
Jaffa Cakes の文字がオレンジの皮を表しているのはいい感じです。

ご存知ない方に簡単に説明すると、ご覧の通りケーキ生地の上にチョコレートが乗っているのですが、その間にオレンジのゼリーが入っています。

もっと正確に言うと、ケーキ生地の上にオレンジゼリーを乗せて、チョコレートでコーティングしたという感じでしょうか。

イギリスのお菓子は甘すぎるのが多いのですが、これは日本のお菓子に慣れている人もふつうにおいしく食べられるくらい、ちょうどいい甘さです。

特に土台のケーキもチョコレートも甘みが控えめで、間のオレンジゼリーのさわやかな風味と甘酸っぱさが引き立ってます。

たぶんオレンジゼリーなしで食べてもおいしいし、オレンジゼリーの部分だけ食べてもおいしく食べられる味になってると思います。

食感的にもチョコのパリッとした感じ、それがとろけていく感じ、スポンジの柔らかい感じ、ゼリーのツルッとした感じが面白くて、飽きません。

オーソドックスですがなかなかよくできたお菓子だと思います。

 

ジャファケーキを御茶請けに、ティーバッグの放り込まれたミルクティーをマグでがぶがぶ飲む。
これをやったことのない人はイギリス界隈のモグリだと。言われるとか言われないとかw

 

お値段は、通常12個入りで1.19ペンス(210円くらい)のところを半額セール中で0.49ペンス(100円くらい)で手に入れました。*1
1個8円くらいだと考えるととてもお得。

お手軽なイギリス土産としてもおすすめできます。

品質(味) 8/10
値段 10/10(通常価格なら9/10)

 

さて、下の土台のことを「ケーキ」と呼びました。
製品名も「ジャファケーキ」です。

しかしこれがケーキなのかそうでないのかといういかにもイギリス的な問題が発生したことがあります。

今の日本でも軽減税率の話題が上がったりしていますが、そのことを考える上でもよく引き合いに出される事例です。

そのお話はまた後日したいと思います。

今日のところは、「ジャファケーキはおすすめです♪」というところだけ覚えておいてください(笑)

*1:現在1ポンドは約173円

Dole Fruit in Jelly: Mandarins in Orange Flavour Jelly

ゼリーが好きなんです。

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Dole Fruit in Jelly: Mandarins in Orange Flavour Jelly

これまでハートリーの10カロリーゼリー、マンゴー&パッションフルーツ味の記事などを上げてまいりました。

しかしこちらはカロリー制限なし!笑
しかもドールが作っているということで楽しみにしていましたが……。

うむ。
ふつうにおいしいです。
しかし、開けてひとくち食べたときには驚きます。

THE 風邪シロップみたいな味がするのです!

ああ、ドールのゼリーもダメか……
と思って食べ進めると、本体のゼリーはまあ、ふつうのオレンジ味です。
自然な味というよりは人工的な感じもします(ヴィックスのキャンディーみたい)が、まあおいしく食べられます。

ちょっと面白いのが、ゼラチンではなくてカラギーナン(carrageenan)というものが使われているところで、カラギーン(carrageen)というアイルランド原産の海藻類から取れた成分を利用しているものだそうです(いかにもアイルランド語由来っぽい名前です)。

道理で、食感は寒天っぽい感じです。

自然由来ではありますが、軽く調べたところ安全面を疑問視する声もあるっぽい。
海草から採れるというといかにも安全っぽいですが、分からないものです。

ヨーロッパではよく使われているようですね。
めちゃくちゃ美味しければ気にしないタイプなのですが、ふつうに美味しいという程度なので今後はあまり食べないかもしれないです。

早くゼリーの正解を見つけなければ!

お値段は、通常2.43ペンス(420円くらい)のところを1.21ペンス(210円くらい)。*1

品質(味) 7/10
値段 9/10(通常価格なら6/10)

4個入りなのでまあまあお得です。

*1:現在1ポンドは約173円

Hartley’s 10 Cal Raspberry Jelly Pot

イギリス食料雑貨寸評シリーズ。

 

本日はこちら。

 

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Hartley’s 10 Cal Raspberry Jelly Pot

ハートリーの10カロリーゼリー、ラズベリー味。
マンゴー&パッションフルーツ味の記事をこの前上げました。

こちらも甘みと風味が薄いのですが、ラズベリーのほうが酸味のある風味なのでこのシリーズとしては合ってる。

お値段は、通常68ペンス(120円くらい)のところを34ペンス(60円くらい)。*1

品質(味) 5/10
値段 8/10(通常価格なら5/10)

*1:現在1ポンドは約173円